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マツダ・コスモスポーツ [マツダ/コスモスポーツ]

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マツダ・コスモスポーツ(MAZDA Cosmo Sport/马自达・Cosmo Sport), Cosmo_Sport.jpg

マツダ・コスモスポーツ(MAZDA Cosmo Sport/马自达・Cosmo Sport)は、昭和42年(1967年)5月、東洋工業(現マツダ)が社運をかけて開発した、世界に誇る日本初のロータリーエンジン搭載量産車。西ドイツのNSU社とロータリーエンジンで技術提携以来6年、総距離約300万kmにも及ぶ実用化のため厳しいテストと改良の結果生み出したものだ。

コスモスポーツは日本でもはじめての2ローター方式による2シータースポーツカーである。ロータリーエンジンは、回転をダイレクトに発生させる独特な構造をしており、息継ぎのないなめらかな加速性と、小排気量高出力が特徴。 コスモスポーツは画期的なロータリー・ピストン・エンジン機構(水冷直列2ローター)を採用し、その宇宙的とも言えるボディ・スタイルと共に人々の大きな注目を浴びた。フル・シンクロの4段ミッションを介して、最高時速は185km/hに達した。 車名の"コスモ(宇宙)"とは、COSMO=イタリア語で宇宙、英語のCOSMOSにあたる。未来的なスタイルと、エンジンに対する無限大の可能性を期待して命名されたと言われている。

世界初のロータリーエンジン搭載車はNSUヴァンケルスパイダーだが、多くのロータリーエンジン特有のトラブルを克服したかたちで発売された点から、マツダ・コスモスポーツは世界初の実用ロータリーエンジン搭載車というべきであり、またマツダは世界で初めてロータリーエンジンの実用化に成功したメーカーということができる。またヴァンケルスパイダーは1ローターであったため、コスモスポーツは世界初の2ローター搭載車でもある。

昭和43年(1968年)8月、コスモスポーツはマツダ110Sの名でニュルブルクリンクで行われた84時間耐久レース「マラソン・デ・ラ・ルート」に挑戦。生産車によってスピードと耐久性が競われる、文字通りのマラソンレースでポルシェ・ランチア・BMW・サーブ・オペル・シムカ・ダットサンなどと激戦を展開、ポルシェ・ランチアに次ぐ堂々4位入賞の快挙となった。参加59台中、完走はわずか26台であった。

コスモスポーツに搭載された10A型エンジンは、それ以降ファミリアロータリークーペ、サバンナRX-3などに搭載された。しかしコスモスポーツのそれがアルミ合金に炭素鋼を溶射するという高価かつ手の込んだものであるのに対し、以降は特殊鋳鉄を高周波焼入れ加工したものとされ、量産化、低コスト化がはかられた。また加工法もコスモスポーツの砂型鋳造に対し、金型鋳造とされ大量生産された。 昭和47年(1972年)までに前期型(L10A)が昭和42年に343台販売されて、後期型(L10B)の最終販売車までの累計で1176台売られ、終えた。後進のロータリーエンジン搭載車の礎となった、まさに記念すべきモデルである。

ロータリーエンジン搭載用に専用設計されたコスモスポーツのボディはセミモノコック方式であった。コスモスポーツのボディは開口部以外には継ぎ目がなく、ハンドメイドのスペシャルカー然としていた。コスモスポーツの全ての開口部は来たるべき高速時代を見越して、車両進行方向に対し後ろ開きとされた。コスモスポーツのデザインにあたっては、革新的なロータリーエンジンにふさわしい、大胆かつ斬新なスタイルが望まれた。当時の松田恒次社長から「コスモスポーツは売り出すつもりのないイメージカーだ」と言われたからこそ、この思い切ったコスモスポーツのスタイリングが生まれたともいわれる。コスモスポーツの全高は1165mmと異様に低かった。「軽量コンパクトなロータリーエンジンでなければ成しえないデザインを」というデザイナー小林平治の意図はその低さに結実し、伸びやかなリア・オーバーハング、ボディー中央を走るプレスラインとあいまって、コスモスポーツの未来的なイメージをさらに強調している。ボンネット・フードの小ささ、低さはロータリーエンジンの小ささを暗示する。また、バンパーを境に上下に分けたテールランプも特徴的である。

コスモスポーツのアルミニウム製ダッシュパネルは黒一色で統一され,無反射ガラスの7連メーター(時計・燃料計・電流計・速度計・回転計・油温計・水温計の順)が整然と並んでいた。フルパッドの室内、体の通気性を考慮してあたる部分のみを白と黒の千鳥格子柄のウールを使用して贅沢なシートであった。ヘッドレストはない時代だった。前後に調節可能な3本スポークのウッドステアリング(特質する点は昭和45~46年車の中にはイタリア・ナルディ社のネーム入りΦ380のクラシックタイプがメーカー標準仕様であった)、真っ赤なカーペットによってコスモスポーツの車内は風格あふれるものとなった。ウッド・シフトノブは自然に手を下ろした位置に配され、手首を返すだけで気持ちよく操作できるショートストローク・タイプであった。そのほか、当時としては珍しいクラリオン製オートラジオ、トングルスイッチの上下に作動させるタイプのセミオート・アンテナ、メーター照度調整、ホーン音質切り替え(市街地用・高速用)、2スピードワイパー(途中切ると自動的に原点復帰するタイプ。高速時の浮き上がり防止するフィンも付いていた。)さらにマップ・足元(ドア開閉連動)・グローブボックス・トランクの各ランプなどもコスモスポーツには標準で装備されていた。ドアは二段チェッカーであり、スマートに乗り降りできるように考えられていた。座席の後ろには手荷物を置くためのスペースが設けられ、固定用ベルトもついていた。リアガラスには非常に曲率の大きなものが用いられて、室内の開放感を高めた。(現行RX-8およびRX-7のリアガラスはこのオマージュとされる)助手席側サンバイザー裏面には鏡、足元にはフットレスト、前方のグローブボックス脇にはアシスト・グリップも装備され、まさに二人のための贅を尽くした空間が演出されていた。コスモスポーツひいてはロータリーエンジンにかける東洋工業の意気込みの高さが伺えよう。

コスモスポーツの価格は当時148万円で、フェアレディ2000の88万円、スカイライン2000GT-Bの94万円と比べても高価であり、スポーツカーというより二人の乗員のための高級グラン・ツーリスモの趣きであった。当時の大卒初任給を基準に現在の価格に換算すると、コスモスポーツは1000万円を優に超える。コスモスポーツは東洋工業のイメージリーダーであり、「夢の車」であった。

ロータリーエンジンの走りは、レシプロエンジンとはまさに異次元的な感覚をもたらした。当時、ほとんどのレシプロ国産車は4000rpmを過ぎたあたりから騒音・振動がひどくなり、100km/hを超える高速走行では会話すら困難となり、怒鳴りあうようにしなければならぬこともままあった。しかしロータリーエンジンはレッドゾーンの7000rpmまで静粛かつスムーズにためらいなく吹けあがり、さらにその上までも回るかのように思われた。コスモスポーツの加速フィーリングは「走るというより飛ぶ感じ」と表現され、「モーターのようだ」と評された。

昭和43年(1968年)7月にコスモスポーツは早くもマイナーチェンジ(L10AからL10Bに形式変更)が行われ、ラジエーターグリル形状の変更、ブレーキ冷却口の新設、ホイールベース・全長・トレッドの拡大、トランスミッション5速化、前後ブレーキへのハイドロマスターが装着さる。ラジアルタイヤ標準化(155HR15)、ポートタイミングの変更にともなう吸入効率向上によるパワーアップ(110ps/13.3kg→128ps/14.2kg)等を施す。この結果、コスモスポーツの最高速は185km/h→200km/h、0-400m加速も16.3秒→15.8秒となった。

マイナーチェンジによって、当時としては高級品であったディーゼル機器製のクーラーがオプションで装着可能となった。このヂーゼル機器製クーラーの価格は40万円を超えたという。ホンダN360のフル装備グレードである、ツーリングSサン・ルーフ仕様の価格が42.2万円であった時代である。ユニットは座席後ろの手荷物スペースに置かれたため、冷風は後方から吹き出す形であった。同様な方式はトヨタ2000GT。コスモスポーツ専用設計のクーラーであったため効きは悪くなかったが、発熱量の多いロータリーのためオーバーヒート気味となることもままあった。当時のコスモスポーツ取扱説明書にも「クーラ装着車はクーラ作動時、シフトをTOPおよびO・Tにし、エンジン回転1500rpm以下の低回転でノロノロ運転している場合オーバ・ヒート気味になることがありますので、このような場合はシフトを2速か3速にして運転してください。」(原文ママ)との記載がある。

また室内のウォッシャー・ワイパー・ディマー・ウィンカーの4スイッチが、1本のコンビネーション・レバーにまとめられた。3点式シートベルト、調整可能なヘッドレスト後期より装備された。パーキング(エンジン始動時自動消灯)や非常灯も装備され、コスモスポーツは名実共に充実した最高級グランド・ツーリングスポーツに相応しい仕様となる。

この後期型(L10B)コスモスポーツの価格は158万円であった。なお車両形式名はL10Bとなったが、エンジンの排気量は変わらず形式も10A型のままであったがエンジンの仕様は数回変更された。ポートやキャブレターやマフラーである。この変更はあまり知られていない。

コスモスポーツはバッテリーが上がりやすかったとの風評があるが、コスモスポーツはキーを抜いてもシガーソケットが通電しており、このためではないかと思われる。

MAZDA Cosmo Sport
マツダ・コスモスポーツ(MAZDA Cosmo Sport/马自达・Cosmo Sport), Cosmo_Sport_01.jpgマツダ・コスモスポーツ(MAZDA Cosmo Sport/马自达・Cosmo Sport), Cosmo_Sport_02.jpgマツダ・コスモスポーツ(MAZDA Cosmo Sport/马自达・Cosmo Sport), Cosmo_Sport_03.jpg
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